投資信託の利益は、分配金という形で支払われることがあります。
投資家が預けた資産をファンドが運用して、そこから生まれた利益を運用成績に応じて、投資家の間で分配するという仕組みです。
この分配は、1年以内の短いスパンで行われるのが普通です。
あくまでも運用成績に基づいて決められて実施されるものですので、成績が良くなければ少額になることもありますし、場合によっては分配金がゼロということもあります。
こうした仕組みで投資信託の分配金が支払われるわけですが、商品によっては分配金なしというものもあります。
利益を定期的に受け取れないタイプの商品ですので、一見するとメリットが低いように思えます。
しかし、資産運用という観点で見ると、分配金なしにも大きなメリットがあります。
それは、利益を再投資に回していることです。
つまり、運用成績によって利益が出たら、それを分配という形で使うのではなく、投資家の元本を積み上げていく形で充当して、さらにその分を再投資するわけです。
たとえば、初めに100万円を投資して、年利回りが3パーセントだとすると、利益は3万円です。
分配金なしの場合は、この利益を次期の元本に組み込みますので、翌年は103万円の資産を運用できることになります。
こうすれば、元本と1回当たりの利益額が徐々に大きくなっていきます。
これは、複利効果をもたらすというメリットにつながります。
積立投資もそうですが、毎回生まれる利益をすぐに出金してしまうのではなく、再投資することで元本が増え、複利効果でどんどん大きくなります。
複利効果は、特に長期的な運用におけるメリットが大きいです。
最初は少ない資金であったり、毎月投じられる資金が少額だったりしても、複利で元本が膨らんでいきますので、効果的な資産運用が可能となります。
コツコツと資産を増やしていくために長期投資を目指しているのであれば、投資信託は分配金なしの方が、最終的な利益を出しやすいのです。
もう一つの分配金なしのメリットは、税金がかからないという点にあります。
分配金も投資益の一つですから、利益確定の度に20パーセント程度の税金がかかります。
しかし、分配金なしの場合は再投資に回すので、都度税金がかかることはありません。
税金は、売却する時にだけ、利益に対してかかるのみです。
複利効果に加えて税金として相殺されてしまう分も考えると、より利益を出しやすいわけです。
もっとも、これはあくまでも長期的な運用におけるメリットですので、短期もしくは中期で投資信託を利用している場合は、あまりメリットを生かせないという注意点も覚えておきましょう。