投資信託は、中長期ずっと持っていることを前提とした投資商品です。
そのため、市場の変動にかかわらず、市場が低迷している時も高騰している時にも、長期間持ち続けることによってリスクが分散され、より大きなリターンを手にできるというメカニズムを実践できます。
これはドルコスト平均法と呼ばれており、ファンドの取得単価を時間的なリスク分散によって平均化されるという原理に基づいています。
しかし、ずっと持っているといっても、それが10年なのか30年なのか、どのぐらいの期間が「ずっと」に相当するのかに関しては、明確にされていません。
本当に、長期間ずっと持ち続けることによってリターンは大きくなるのでしょうか?
投資信託でずっとファンドを持ち続けていることは、全般的にはリスク分散となり、大きなリターンにつながります。
しかし、100%そうだとは限りません。
特に、新興国からのインデックスファンドを使った信託投資や、積極的に高いリスクを取りながら高いリターンを目指すアクティブファンドの場合には、リスクが高くなることによって、長く持ち続けることが必ずしもリスク分散や高いリターンにつながるというわけではないのです。
例えば、2009年から数年間トレンドとなったBRICSは、経済的な成長が期待できそうな新興国に注目したファンドでした。
具体的には、ブラジルやロシア、インドや中国、そして南アフリカの国のことを指していて、これらの国の頭文字をとってBRICSと名付けたわけですが、国が成長することによって高いリターンが期待できるだろうと予測したのです。
しかしBRICSは一時的なトレンドとして終了し、残念ながら持っている保有期間に関係なく大きなリターンを得ることはできませんでした。
投資信託は市場の変動にかかわらず持ち続けるというスタンスを維持した投資家の多くは、取引すると大きな損失となってしまうために売却できず、塩漬けの状態に突入したものです。
株式取引などと比較するとリスクが低いと評価される投資信託ですが、投資なので元本保証はありません。
それに、ファンドのリスクによっては、長く持ち続けることが必ずしも大きなリターンに直結するとは限りません。
初心者が投資信託を行う際には、できるだけリスクを最小限に抑えるためにも、BRICSのような銘柄は避け、債券や保険など安全性が高いバランスファンドを選ぶことをおすすめします。